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「美しいこと」読了:漫画 

 橋本みつる著「美しいこと」読了。

 作者について補足を。
 知らない人は全然知らない、非常に寡作でマイナーな漫画家。なにせ、商業誌に初めてこの人の作品が出たのは1988年とのことだから、漫画家歴は実に20年。…計算してみて今ショック受けた。さておき。なのに、単行本が6冊しかないんです。知ってから10年くらいは1冊も出なかったもんな…。合間合間で、数年沈黙があったりはするけど、現役なのに。あちこちに短編を落としてるような、そんな人。
 元々は白泉社の「花とゆめ」で描いてたのだけど、転々として、今は新書館の「wings」で描いている模様。ファン的には未収録作品多すぎて泣きそう。花とゆめで掲載していた当時は、「そのうち単行本になるべ」とタカをくくってたのだ。…こんなに凄い人が単行本にならんわけないだろう、と、世間を甘く見ていた過ち。好悪に関して、私にはほんとにこういう無駄な自信が多い。

 「感情を描かせたら、この人に勝てる漫画家はいない」と思ってる、私の中でかなり特別な地位を占める漫画家。パワーダウンしないまま寡作ながらも描き続けてることに感謝したくなる。初遭遇は私が中学生か小学生の頃で、当時読んだ作品がなんだったのか…「人体星月夜」(夢を見る人収録)は確実に覚えてるんですが…その前にもなにかあったのに、もう思い出せない。とにかく、「ヤバイこの人なんなんだ!?凄い!」と強く感じた。ちなみに、似たような強烈なインパクトは、望月花梨の「境界」(コナコナチョウチョウ収録)、山本修代(現:山本修世)の「栄冠は君に輝く」で感じたかな。

 絵柄はかなり特徴がある。一度覚えると見間違えない。漫画読むと間違えようがない。知り合いに「怖い」といわれたことがあるので、好き嫌いがはっきりしやすいかも。あの絵のインパクトっぷりが、また大事なポイントだと思うのだけど…。
 説明しにくい作風なのだけど、いわゆる感性漫画というのかな。キーワードはとにかく感情。あと青春。感性が錆びてない頃の、あーいう感じを「こーでしょ?」と見せつける人。私としては、漫画(「漫画家」に非ず)の能力をあますことなく使って、感情を見せつけてくるというイメージです。こんな説明でわかるわけがねー…。ご本人が、単行本内で「漫画はコマの割り方、モノローグの置き方、アングルなどで感情の入り具合が全然違ってくる、それが楽しい」というようなことを書いてるんですが、つまりはそういうことです。それまで、この人が凄いのはわかってたけど、何が凄いというのは全然説明できなくて、「凄い」のはここだったのか!と、目が覚める思いだった。ほんと、寡作なだけあって、特に短編は半端ねーぞ。今読めるのは数少ないけど…。単行本になってるなかで私が特に好きなのは、「太陽海岸」(パーフェクト・ストレンジャー収録)、「背中をどうにかしてくれ」(GET DOWN幼い恋収録)、「夢を見る人」(夢を見る人収録)あたりっすかね。

 気になって頂けたら、是非ご一読を。ただ、タイトルの「美しいこと」は、他作品を読んでから手を出すことをお勧めしますw あんまり凄い凄いいってると、「…ふつーの漫画じゃね?」と思われそうだ。うん、漫画の枠からはまったくはみでてませんよ。あと、旦那はフツーに読んでるんで、「誰が見ても凄いと思う」類ではないと思う。

 では、やっとこ、以下感想↓

 この作品は、簡単に人に薦められるものではなかった。
 出来が悪かったとか、趣味じゃないとか、そういう話ではない。相変わらずの橋本みつるで、衰えは感じなかった。問題はそこではなく、「これ薦めたら、イタイ子だと思われる可能性が高すぎる」という自己保身のため。橋本みつる作品には、大抵痛々しさはついてまわるもんなんですが、これは特にひどい。
 危険ラインに突入してしまってる。思春期によくある、自尊心とかモラトリアムとか、成長というか大人になることを否定するというか、清濁併せ持つ前の段階というのか。へたに感情がばっしんばっしん伝わってきてしまうから、ほんとに困るのだ。感情移入できそうだけどしたくないせめぎあい。今更感情移入してしまうと、今の自分を否定することになる。周囲の人間も否定することになる。自分の思想を否定することになる。こんな危険なもんを人様に薦められるか。まあ感情移入しなきゃいいだろって話ですが。
 同時収録の後日談的な短編は、男の子側からの視点で進められるもので、こっちは特に危うさを感じず、薦められるものでありました。やっぱりあの主人公だな…。

 …と思ったところで、ふと考えた。モラトリアムというか、似たような題材を扱ってる作家や作品は多いのに、何故今回の作品だけここまで思うのか。やっぱり、感情が伝わりすぎるからなんではないかなーと思う。もう少しそこはかとなさがあれば、ある種文学作品として批評できたりするのかもしれない(望月花梨や清原なつのはこっちの傾向があるね)。

 ファンとしては「とうとうここ来ましたかあ!」という感じはあるのだけど、他作品を読んでない人にはその感覚がわかるわけもない。正直「『美しいこと』からファンになりました!」とかいう人と遭遇したら、年次第だけど、多分瞬間的に構えるよ…。橋本みつるが素晴らしいのは当然としても。

 しかし、なんでこんなに凄い人がこんなに無名なんだろう。いわゆる「一部にコアなファンを持つ」人なんだろうけど。

 んー…初めて読む人にはあまりお勧めはしないけど、一応、試し読みはこちら

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